先輩たちの努力と普段から周りを見渡せる環境作り
今回は2014ダノンネーションズカップ杯(ダノン杯)日本大会の王者である横河武蔵野FCジュニア、その強さはどのようにして育まれたのかを取材しました。
声を出す事の重要性、チームの一体感
横河武蔵野FCジュニアチームを率いる戸田智史監督に、チームのストロングポイントを聞きました。
「(試合中に)コミュニケーションをとる事。自分たちで相手を見て、声をかけ合うという事が出来ていた。しかし一つ上である今の中学校一年生はもっと声を出していた。そういう上の学年の子を見て、試合中にコミュニケーションをとる事を教わった」。
声を出す事の重要性は、チームの一体感を作り出します。そのようなチーム作りを行っていた先輩たちの背中を見て、試合での立ち振る舞いを学んでいた横河武蔵野FCジュニア。それは目に見えないものかもしれません。しかしチームを優勝に導いた強さの背景には、先輩たちの努力がしっかりと息付いていました。
トップチームからジュニアまでが同じグランドで練習
そしてもう一つ、横河武蔵野FCジュニアの強さに結びつくものがありました。それは一つの練習場。東京都武蔵野市にある練習場は、クラブハウスのすぐ近くに人工芝のグラウンドが一つあります。
横河武蔵野FCのトップチーム、ユース、ジュニアユース、ジュニアがこのグラウンドで練習を行っています。19時からトップチーム、19時までがユース、ジュニアユース、ジュニアの選手たちがグラウンドを使える時間です。
戸田監督は「伸び伸びグラウンドを使えないという点ではデメリットかもれない。しかし一方で、各年代が一つのグラウンドで練習をする事は、間近で高校生や中学生のプレーを見る事が出来る。練習後も社会人の練習の見学が出来ている」と練習環境について言うように、上のカテゴリーのプレーを間近で見る事が、能力向上に役立っていました。
彼らの成長には、先輩たちの努力と指導者の方が行っている普段から周りを見渡せる環境作りが大きく影響していたのです。
また今後も現在のジュニアの選手たちを見て、後輩たちが育っていくのでしょう。このような育成環境によってジュニアから育ったという高校生の渡辺悠雅選手。渡辺選手はトップチームに参加し、JFLリーグで得点するなど活躍を見せています。横河武蔵野FCの成長は、価値ある一つのグラウンドで育まれていきます。
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪でなでしこジャパンや女子レスリング金メダリストの伊調馨らを取材。フジテレビ「とくダネ!」に出演するなど現在スポーツライターとして活躍中。