入団は超難関!FCバルセロナの下部組織カンテラを学ぶ
FCバルセロナと聞けば誰もが知っている名門中の名門。その下部組織の「カンテラ」は、数多くのスター選手を誕生させていますよね。
地元出身の選手は7歳以上が対象ですが、国外の選手は13歳から対象となっています。アルゼンチン出身のメッシ選手が入団テストに合格したのも13歳です。
この記事の目次
入団テストまでの道のりも簡単ではない
世界屈指の選手を輩出しているバルサカンテラは、入団テストまでの道のりも簡単なものではありません。地域でもごく僅かのトップレベルの選手を選別し、クラブが求める方向性に適したプレーや状況判断なども入団に影響されます。
合格後も決して油断できません。シーズンごとに選手を入れ替えるため、厳しい生存争いが余儀なくされます。2011年4月、久保建英くんは国外選手では異例の10歳にしてバルサのカンテラ入団テストに合格し、この狭き門を潜った初めての日本人となりました。
久保建英くんの道のり
久保くんのバルサ入団のきっかけとなったのが「アメージング スポーツ ラボ ジャパン」企画の「FCバルセロナ キャンプ」。バルサスクールのコーチを迎えて練習を行うバルサ公認のキャンプです。
当時、全参加者の中からMVPを1名選出し、バルサスクール選抜の一員として国際大会へ出場するという特典がありました。久保くんはキャンプのMVPとなり、国際大会「ソデクソ・ヨーロピアン・ルーカスカップ」にバルセロナ・エスコラ(スクール選抜)で出場しました。
同じスペインからはアトレティコ・マドリー、ドイツからはケルン、シャルケなど欧州の名門クラブが参加する国際大会。チームメイトであるバルサスクール選抜の1人1人にとってもカンテラ入りする大きなチャンスとなる舞台です。
チームは3位にも関わらず大会MVPに選出
チームに合流して間もない久保くんでしたが、プレマッチでチーム合計9ゴールのうち、6ゴール1アシストを記録。さらに本大会予選でハットトリックを達成するなど予選から決勝トーナメントまでの6勝1敗に大きく貢献し、バルセロナ・エスコラは3位で大会を終えました。
驚くのは、この大会のMVP。優勝チームからではなく、3位のバルセロナ・エスコラから久保くんが選ばれたのです。他のチームメイトとは違い、言語や環境が異なる中でも実力を発揮することが出来た事は、凄いの一言に尽きますよね。
その後、バルサコーチの推薦もあり、入団テストを受け、合格に至りました。入団後もリーグ得点王に輝くなど、目覚ましい功績を挙げており、スペインでも高い人気を誇っていました。
判断能力はカンテラから徹底して作られている
「アメージング スポーツ ラボ ジャパン」の浜田満さんに話を聞くことが出来ました。
バルサのカンテラでは目標を定めて、それを長期間かけて達成していく事を知り、目標達成へ向けての過程でプレーへの理解が育まれる事の重要性を強く感じました。
キャンプでも各グループ目標を決めて5日間で達成していきます。実際にキャンプ経験者からは、ポジショニングやパスの際に自ら考えて動くようになったという声が多いそうです。
考えて動くことによって、判断力がつき、より速く効果的な連係がとれるようになります。高いボール保持率を誇るバルセロナ。組織プレーを生かすための動きを判断する能力はカンテラから徹底して作られていると感じました。
バルサカンテラで活躍した久保くんも優れた判断能力が入団の要因のひとつとされています。
このように今では育成から海外クラブの練習を日本で体験できる恵まれた時代となりましたね。長所を取り入れ、プレーの幅が広がれば、将来的に進化できる部分があるのではないでしょうか。
1987年生まれ。福島県出身。ロンドン五輪でなでしこジャパンや女子レスリング金メダリストの伊調馨らを取材。フジテレビ「とくダネ!」に出演するなど現在スポーツライターとして活躍中。